「今日は腹が立ってる」
と、母からの電話。
弟家族と同居している80歳の母は、
フルで働いているお嫁さんの代わりに、
家族の食事を作っているのですが、
(春休みは、夕ご飯だけではなく
お昼ご飯も作らないといけないから、
それが本当に大変だと、よく愚痴をこぼしていて)
ある日、
ラーメンに唐揚げをトッピングしたことに対して、
今度高校生になる孫が文句を言ってきたらしいのです。
母が言うには、それも、その時に言うのではなく、数日後に、
父親(私の弟で、母にとっては息子)がいるところで言い、
さらには、弟は母の肩を持つのではなく、
「唐揚げをラーメンに入れるなんて信じられん」
と、2人で母を批判したことが、ショックだったらしく、
「こんなに頑張っているのに、
感謝どころか、あんなこと言われて、
ほんと、なんていうか、情けないよ」
と嘆き、怒っているのです。
そのやりきれなさは、毎日の食事作りで
へとへとになっているからこそで、
痛いほどわかります。
言った側からすると些細なことかもしれないけれど、
疲れ切っていながら、頑張っている母には、
爆弾級に響くものです。
このワンシーンだけを切り取ると、
本当に80歳もなって、母が気の毒だし、
なんとかならないものかと、毎回思います。
ただ、
もっと俯瞰から見ると、
「こんなにやってあげているのに、
通じない、感謝もない」
「気持ちをわかってもらえない」
と嘆くその背景も、見えてくるのです。
母の見ている世界と、良かれと思っての行為も、
孫たちが生きている、望む世界が、
全く繋がっていないのです。
母も又、孫たちが心を閉ざすような
言葉を発することがあり、
「アドバイスしてあげないと、間違うでしょ」
と、その思い込みを疑わず、
良かれと思っている言葉かけなのでしょうが、
疲れから仕方なく出てしまう態度でしょうが、
その積み重ねによって、
心の距離ができてしまっている気もします。
そして、まるで生きている層が違うかのように、
交わらなくなりつつある感じがしています。
どちらも精一杯日々を頑張り続けているがゆえに、
どちらも致し方なく、壁を作るしかないようで、
この状況が、ただただ、切ない。
こんなに時を重ねてきて、力を注いできているのに、
もったいなく、切ない事態になってしまっていると、
思うのです。
母は、私に共感を求めているし、
もちろん、共感しながら話を聴くのですが、
気を付けないと、
母の信念体系を強固にしてしまい、
母のいる層と、弟家族のいる層をさらに、遠く離してしまい、
結果的に母が孤独になる可能性があるので、
層をつなぐ経路を探しつつ、聴いています。
そこに、自ら気づくことができたなら、
自分の層から出ることができたなら、
再び、交わっていけるのではないかと、願いながら。
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